全ての宗教を統一する呼びかけに関する規則はありますか 唯 一アッラーに讃えあれ。 最後の預言者、彼の家族、教友、そして最後の審判の日まで真実に従う人々に平安と恩恵のあらんことを。 学術研究・ファトワ発令常任委員会(アッラジュナ・アルダーイマ・リル・ブフート・アルイルミーヤ・ワルイフタ)はイスラーム、ユダヤ教、キリスト教の三 つの宗教を統一する呼びかけに関して、委員会に提出された質問、出版されたりマスメディアで公表された意見や記事、そこから起因してモスク、教会、シナ ゴーグを同じ場所、大学や公共の広場に建てる呼びかけ、クルアーン、タウラート(トーラ)、インジール(福音書)を一冊に印刷する呼びかけ、この問題に関 して東洋と西洋で会議、セミナー、ミーティングを開く呼びかけを調査してきた。 · (1)イスラームを信じる基本原則の一つ、これは明らかに基本的な原則であり、全てのムスリムが合意している(イジュマー)ことであるが、この地上でイス ラームの他に真正な宗教はないということである。イスラーム以前のあらゆる宗教と法律を廃止する最後の宗教である。イスラームに従って、この地上でアッ ラーが崇拝される宗教は他にない。アッラー曰く(意味の解釈): 「今日われはあなたがたのために、あなたがたの宗教を完成し、またあなたがたに対するわれの恩恵を全うし、あなたがたのための教えとして、イスラームを選 んだのである。」 [食卓章(アル・マーイダ) 5:3] 「イスラーム以外の教えを追及する者は、決して受け入れられない。また来世においては、これらの者は失敗者の類である。」[イムラ-ン章 3:85]. ムハンマド (かれに平安とアッラーのご加護を)がやってきた後、彼がもたらしたものはイスラームであり、他の宗教ではない。 · (2) イスラームにおける信仰の基本原理の一つは、アッラーの聖典、聖クルアーンが全宇宙の主から啓示される最後の聖典ということである。聖クルアーン以前に下 されたあらゆる啓典、タウラート、ザブール、インジール、その他を廃止し、それらの啓典に対するムハイミーン[ムハイミーン: 啓典の中の真実を証言し、付け加えられた誤りを指摘する]になる。そのためもはやクルアーン以外に、アッラーの崇拝に関して、啓示された聖典はない。アッ ラー曰く(意味の解釈): 「われは真理によって、あなたに(ムハンマドよ)啓典(クルアーン)を下した。それは以前にある啓典を確証し、それ(古い啓典)に対するムハイミーン(高 い信頼性と証拠)である。それでアッラーが下されたものによって、かれらを裁け。あなたに与えられた真理に基づき、かれらの私慾に従ってはならない。」 [食卓章(アル・マーイダ) 5:48] · (3)タウラートとインジールが追加や削除によって、改ざんされたため、クルアーンによって破棄されたことを信じなければならない。アッラーはクルアーン の中で 我々に申されている(意味の解釈): 「しかしかれらはこの約束を破ったので、われは見限って、かれらの心を頑なにした。かれらは(啓典の正しい)字句の位置を変え、与えられた訓戒の大切な部 分を忘れ去ってしまった。それでかれらのうちの少数の者以外は、いつも約束を破棄し、裏切りにでるであろう。」 [食卓章(アル・マーイダ) 5:13] 「災いあれ、自分の手で啓典を書き、僅かな代償を得るため、『これはアッラーから下ったものだ。』と言う者に。かれらに災いあれ、その手が記したもののた めに。かれらに災いあれ、それによって利益を得たために。」 [雌牛章(アル・バカラ) 2:79] 「本当に、かれらの中には、自分の舌で(読んで)啓典をゆがめ、啓典にないことを啓典の一部であるかのように、あなたがたに思わせようとする一派がある。 またかれらは、アッラーの御許からではないものを、『それはアッラーから来たものだ。』と言う。彼らは故意にアッラーについて虚偽を語る者である。」 [イムラ-ン章 3:78] そのため、過去の啓典の中で間違っているのに正しいとされたことは、イスラームによって廃止され、全てのことが歪められ、変更されている。 預言者 (かれに平安とアッラーのご加護を) はオマルがタウラートのことばが書かれている紙を持っているのを見て憤慨し、預言者 (かれに平安とアッラーのご加護を) は申された。「啓典の息子よ、おまえは疑っているのか。私はおまえに純粋に輝いているものをもたらしたのではないか。私の同胞ムーサが生きているならば、 私に従う他ないであろう。」 (アハマド、アル・ダアリニ、その他の人びとが伝承している) · (4) イスラームにおける信仰の基本原理の一つは、預言者・使徒ムハンマド (かれに平安とアッラーのご加護を) が今までの預言者・使徒たちの封印ということである。アッラー曰く(意味の解釈): 「ムハンマドは、あなたがたの誰の父親でもない。しかし、アッラーの使徒であり、また預言者の封緘である。」 [部族連合章(アル・アハザーブ) 33:40] そのため、ムハンマド(かれに平安とアッラーのご加護を)以外に従うべき使徒は、もはや存在しない。もし預言者の1人が生きているならば、かれらは彼に従 う他ないであろう。アッラー曰く(意味の解釈): 「アッラーが預言者たちと約束された時のことを(思い出せ)。かれは仰せられた。『われがあなたがたに啓典とヒクマ(アッラーの法の理解)から与えたこと を受けよ。その後で、あなたがたが持つ(啓典)を実証するために1人の使徒(ムハンマド)が来るであろう。そのときあなたがたは彼を信じ、助けなさい。』 アッラーは仰せられた。『あなたがたはこれに承知するのか。このことに就いて、(われと動きの取れない)約束をするのか。』かれらは申し上げた。『承知し ました』『それならあなたがたは証言しなさい。われもあなたがたと共に(このことを)立証しよう。』と仰せられた。」 [イムラ-ン章 3:81] アッラーの使徒イーサ(かれに平安あれ)がこの世の終わりに地上に降りてくる時、彼はムハンマド (かれに平安とアッラーのご加護を)に従い、彼は彼のシャリーアに従って裁くであろう。アッラー曰く(意味の解釈): 「彼らは読み書きのできない使徒、預言者(ムハンマド)に従う者である。かれはかれらの持っているタウラート(律法)とインジール(福音書)の中に、記さ れ見出される者である。かれはアル・マルーフ(イスラームの一神教とイスラームが命じること全て)をかれらに命じ、アル・マンクール(不信心、あらゆる種 類の多神教、イスラームが禁じる全てのこと)をかれらに禁じる。また一切の善いもの、アッタイバート(ものごと、行為、信仰、人物、食べ物に関して合法で 善いものすべて)を合法とし、アル・カバイース(ものごと、行為、信仰、人物、食べ物に関して非合法で邪悪なもの)を禁忌とする。またかれらの重荷(イス ラエルの子孫とアッラーの約束)を除き、かれらの上の束縛を解く。それでかれ(ムハンマド)を信じるものは、かれを尊敬し、かれを助けて、かれと共に下さ れた御光(クルアーン)に従う。これらの人びとこそは成功するものたちである。」 [高壁章(アル・アアラーフ) 7:157] イスラームにおける信仰の基本原理の一つはムハンマド (かれに平安とアッラーのご加護を)のメッセージが人類全てに向けられていることである。アッラー曰く(意味の解釈): 「われは、全人類への吉報の伝達者また警告者として、あなた(ムハンマド)を遣わした。だが人々の多くは、それが分からない。」 [サバア章 34:28] 「(ムハンマドよ)言ってみるがよい。『人びとよ。本当に、私はアッラーの使徒として、あなたがた凡てに遣わされた者である。』」[高壁章(アル・アア ラーフ) 7:158]. 他にも同じようなアヤが多くある。 · (5) イスラームにおける基本原則の一つは、ユダヤ人、キリスト教徒、その他イスラームに入信しない人はすべてカーフィルであり、イスラームに反対することが証 明されたものはカーフィルと呼び、アッラー、使徒、信者の敵と見なし、かれらは地獄の人々であると信じなければならない。アッラー曰く(意味の解釈): 「啓典の民(ユダヤ教徒とキリスト教徒)の中、真理を拒否したものもムシュリキーン(多神教徒)も、かれらに明証が来るまで(道から)離れようとはしな かった」[明証章(アル・バイイナ) 98:1] 「本当に、啓典の民(ユダヤ教徒とキリスト教徒)の中、(イスラームの宗教、クルアーン、預言者ムハンマドを)拒否したものも、アル・ムシュリキーン(多 神教徒)も、地獄の火の中に(投げ込まれて)、その中に永遠に住む。かれらは衆生の中最悪のものである。」 [明証章(アル・バイイナ) 98:6] 「このクルアーンが、私に啓示されたのは、私があなたがたそして届く限りの者に、それによって警告するためである。」 [家畜章(アル・アンアーム) 6:19] 「これ(クルアーン)は、人びとに対する伝言であり、(かれらに対する明確な証拠であり)、これによってかれらは警告される。」 [イブラヒーム章14:52]. 他にも同じような多くのアヤがある。サヒーヒムスリムの伝承によると、預言者 (かれに平安とアッラーのご加護を) は申された。「私の魂が掌中に委ねられている主によって、この国の民は、ユダヤ教徒もキリスト教徒も、誰も私のことを知らない。かれらは私に送られたこと を信じないで死んでいく。かれらは煉獄の人々になる。」ユダヤ教徒やキリスト教徒をカーフィルと見なさないものは誰でも、自身がカーフィルである。シャ リーアの決まりによると、「ある人物がカーフィルである明らかな証拠があるにもかかわらず、カーフィルと見なさないものは、その者自身がカーフィルであ る。」 · (6) これらの信仰の基本原則とシャリーアの規則の観点から、全ての宗教を統一し、お互いに親しくなり、同じ形に填めようとする呼びかけは、邪悪で狡猾な呼びか けであり、それが目指すものは、真理と虚偽を混同し、イスラームを破壊し、イスラームの柱を損ない、信者をイスラームから完全に逸脱させてしまう。このこ とはクルアーンが明確に語っている(意味の解釈): 「かれらはもし出来るなら、あなたがたをあなたがたの宗教(イスラームの一神教)から背かせるまで戦いを止めないであろう。」 [雌牛章(アル・バカラ) 2:217] 「かれらは自分が信仰を拒否するように、あなたがたも(信仰を)拒否し、(かれらの)同類になることを望む。」 [婦人章(アン・ニサーア) 4:89] · (7) この邪悪の呼びかけが影響することで、イスラームとクフル、真実と虚偽、善と悪の違いを損なってしまう。そしてムスリムとカーフィルの間の心理的な壁を破 壊し、アル・ワラー・ワル・バラア(ムスリム同士の忠誠心と友情、カーフィルに対する拒絶と敵意)、ジハード、アッラーの地上においてアッラーの御言葉を 崇めさせる闘いが意味をなさなくなる。アッラー曰く(意味の解釈): 「(1)アッラーも(2)終末の日も信じないもの、(3)アッラーとかれの使徒(ムハンマド)が禁じたものを守らず、啓典の民(ユダヤ教徒とキリスト教 徒)の間で真理の宗教(イスラーム)を認めないものたちには、かれらが進んでジズヤ(税)を納め、屈服するまで戦え。」 [悔悟章(アッ・タウバ) 9:29] 「ムシュリキーン(多神教徒、異教徒、偶像崇拝者、アッラーの唯一性を信じないもの)が皆であなたがたと戦うように、あなたがたも彼らと戦え。アッラー は、アル・ムッタクーン(主を畏れる者)と共におられることを知れ。」[悔悟章(アッ・タウバ) 9:36] 「信仰する者よ。あなたがたの宗教以外のもの(異教徒、ユダヤ教徒、キリスト教徒、偽善者)をビタアーナ(忠告者、相談者、保護者、援助者、友人)にして はならない。かれらはあなたがたの堕落を厭わない。あなたがたの苦難を望んでいる。憎悪の情は、もうかれらの口からほとばしっている。だがその胸の中に隠 すところは、更に甚だしい。われは既に種々のアヤ(証拠、確証、節)を、あなたがたに鮮明にした。ただあなたがたの理解する力が問題なだけである。」 [イムラーン章 3:118] · (8) 宗教を統一する呼びかけがムスリムによって行われるのならば、信仰の基本原則と対立するため、明らかにイスラームからの背教である。アッラーに対する不信 を受け入れることであり、クルアーンの真実と矛盾する。そしてイスラーム以前の全ての法と宗教を廃棄することになる。よって、シャリーアの観点からこの考 えは拒絶されるべきであり、イスラーム、クルアーン、シャリーア、イジュマー(学者の統一的見解)の証に従って、これは明らかにハラームである。 · (9) 以上の記述に基づいて、 · (i) アッラーを主とし、イスラームを宗教とし、ムハンマド (かれに平安とアッラーのご加護を) をアッラーの預言者・使徒と信じるムスリムにとって、この邪悪な考えに人びとを呼び入れたり、ムスリムの間で奨励したり、促進することは許されることでは ない。まして、この呼びかけに応答したり、この考えを普及させる会議や集りに参加することは許されない。 · (ii) ムスリムがタウラートやインジールを自分で印刷することは認められない。ましてクルアーンと一冊にまとめて印刷するなど許されない。このようなことを行っ たり、呼びかけるものは、逸脱している。このような行為は、真実(クルアーン)と、改ざんされているか、かつて真実であったが今では廃止されているもの (タウラートとインジール)を結びつけることになる。 · (iii) 同じように、モスク、教会、シナゴーグを同じ場所に建てる呼びかけにムスリムが応じることは許されない。イスラーム以外でアッラーが崇拝される宗教を認め ることになる。またイスラームが他の全ての宗教を凌駕するべきであるとする考えを拒絶し、三つの宗教があり、人びとがそのいずれかに属することで問題がな いとする考えを認めることになる。この考え方はイスラームが、それ以前に下された宗教を廃止しないとする、平等性を認めることになる。疑いもなく、このこ とを認めるものは、クルアーン、スンナ、ムスリムの統一的見解(イジュマー)に反することになる。そしてユダヤ教徒やキリスト教徒の改ざんは、遥か高位に 拝するアッラーから由来することになる。同じ理由から、教会を「神の家」と呼んだり、教会の人々は正しく認められるやり方でアッラーを礼拝していると言う ことは認められない。この礼拝はイスラームの宗教に従って行われていない。アッラー曰く(意味の解釈): 「イスラーム以外の宗教を追求するものは、決して受け入れられない。また来世においては、これらの者は失敗者の類である。」 [イムラ-ン章 3:85]. むしろ、アッラーに対する不信(クフル)が表される場所がある。我々はアッラーにクフルとその人々からの避難を求める。シェイク・アルイスラーム・イブ ン・タイミーヤ(彼にアッラーのご慈悲を)がマジュム・アル・ファターワ(22/162)で述べている。「教会とシナゴーグはアッラーの館ではない。アッ ラーの館はモスクである。 それどころか、アッラーに対する不信(クフル)が表現される場所がある。その中でアッラーのことが語られても、その場所はその中にいる人々と同じである。 その中にいる人々はカーフィルである。そこはカーフィルの崇拝の場所である。」 · (10)カーフィル一般、特に啓典の民を、クルアーンとスンナの明らかな記述によって、イスラームに呼びかけることは、ムスリムの義務であることを強調し なければならない。しかし、これは(善き言葉と善き振る舞いを通して)彼らに説明し、彼らと論じなければならない (蜘蛛章:アル・アンカブート 29:46)が,イスラームの信仰と法のいずれも妥協してはならない。イスラームについてかれらを確信させ、改宗させるためであり、彼らに反する証拠を明 確に示すことによって、(信仰の拒絶によって)破滅するべき人びとが確証の後で破滅され、存続するべき人々(信者)は確証の後で存続する(戦利品章:ア ル・アンファール8:42)。アッラー曰く(意味の解釈): 「(ムハンマドよ)言ってやるがよい。『啓典の民(ユダヤ教徒とキリスト教徒)よ、わたしたちとあなたがたとの間の共通のことば(の下)に来なさい。わた したちはアッラーにだけ仕え、何ものをもかれに列しない。またわたしたちはアッラーを差し置いて、外のものを主として崇めない。』それでもし、かれらが背 き去るならば、言ってやるがよい。『わたしたちはムスリムであることを証言する。』」 [イムラーン章 3:64] かれらの望みに沿って、イスラームを少しずつ破壊しようとするかれらの目的を満たすため、彼らを論じたり、会うべきではなく、これはアッラー、使徒、信者 が拒絶している。すべてはアッラーに帰するため、助けを求められるのはアッラーだけである。アッラー曰く(意味の解釈): 「アッラーがあなたに下される(教えの)どの部分についても惑わされないよう、彼らに用心しなさい。」 [食卓章(アル・マアイダ) 5:49] 学術研究・ファトワ発令常任委員会は人びとに上記の声明を行った。一般のムスリム、特に有識者に忠告するが、アッラーを畏れ、アッラーがいつも見張ってい ることを自覚しなければならない。イスラームを守り、ムスリムのアキーダ(信仰)を逸脱させないようにし、イスラームを促進する人びとを保護し、クフルと その人びとから遠ざけ、そして、この考えを尊重しなければならない。