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アッラーの使徒ムハンマド -2

1538 2012/12/04 2024/11/17

それからアッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は心を恐怖でおののかせつつ、その啓示と出来事を携えて家に帰りました。そしてハディージャ・ビント・フワイリドのもとに行くと、言いました:“私を包んでくれ。私を包んでくれ。”そして彼は彼の恐怖が去るまで、(衣服などで)包み込まれました。それからハディージャに、彼の身に起こったことの顛末を話しました:“私は(この出来事により、自分がどうなってしまうのか)恐くなってしまった。”するとハディージャは言いました:“いいえ、アッラーにかけて。アッラーはあなたを辱めるようなことは、決してなされません。あなたは親類縁者に良くし、身寄りのない弱者を助け、貧者に与え、客人にはもてなし、不幸に襲われた人たちの力になるのではありませんか。”

 

そしてハディージャはムハンマド(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)を連れ、

彼女のいとこのワラカ・ブン・ナウファル・ブン・アサド・ブン・アブドルウッザーのもとへと赴きました。彼はイスラーム以前の無明時代にキリスト教を受け入れた男で、ヘブライ語で書物を記し、福音書もヘブライ語で書いていました。また彼は非常に高齢で、既に視力を失っていました。ハディージャは彼に言いました:“叔父さんの息子よ、あなたの兄弟の息子の話を聞いてください。”ワラカは聞きました:“我が兄弟の息子よ、あなたは何を見たのか?”それでアッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は彼に、彼の見たものについて語り聞かせました。

 

するとワラカは言いました:“これはアッラーがムーサーに下したのと同じ啓示だ。ああ私が若者であったなら!そしてあなたが民によって追い出される時に、私が生きながらえていたら!”するとアッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は言いました:“人々は私を追い出すのですか?”(ワラカは)言いました:“ああ、あなたがもたらされたようなものを携えてきた者は皆、人々に敵対されるのだ。もしその時まで私が生きていたのなら、あなたを手厚く擁護したのだが。”その後間もなくしてワラカは亡くなり、啓示も中断しました。」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承[1]

 

● 彼の妻たち:

 

所謂“信仰者の母たち”は、現世と来世において預言者ムハンマド(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)の妻たちです。彼女たちは皆ムスリムで善良かつ清浄、純粋であり、貞節に関わるような全てのことにおいて無実です。彼女たちは以下の者たちです:

 

ハディージャ・ビント・フワイリド。アーイシャ・ビント・アビー・バクル。サウダ・ビント・ザマア。ハフサ・ビント・ウマル。ザイナブ・ビント・フザイマ。ウンム・サラマ。ザイナブ・ビント・ジャハシュ。ジュワイリーヤ・ビント・アル=ハーリス。ウンム・ハビーバ・ビント・アビー・スフヤーン。サフィーヤ・ビント・フヤイ。マイムーナ・ビント・アル=ハーリス(彼女たち全てにアッラーのご満悦あれ)。

 

彼女たちの内、預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)の逝去前に他界したのはハディージャとザイナブ・ビント・フザイマの2人のみで、他の妻たちは皆彼の逝去後に亡くなりました。

彼女たちの内で最良の妻はハディージャとアーイシャです。彼女たち全員にアッラーのお悦びがありますように。

 

● 使徒ムハンマド(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)の子供たち:

 

1-使徒ムハンマド(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は3人の息子を授かりました。アル=カースィムとアブドッラーをハディージャから、イブラーヒームを女奴隷のコプト人マーリヤから授かりましたが、全員夭折しました。

 

2-一方娘たちはといえば、ザイナブ、ルカイヤ、ウンム・クルスーム、ファーティマの4人をハディージャから授かりました。ファーティマ以外の3人は全員預言者ムハンマド(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)の逝去前に亡くなり、ファーティマのみが彼の他界後まで存命しました。彼女たちは皆ムスリマ(ムスリムの女性形)であり、善良で潔癖です。彼女たち全員にアッラーのお悦びがありますように。

 

● 使徒ムハンマド(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)のサハーバ(教友たち):

 

使徒ムハンマド(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)のサハーバ(教友たち)は最良の世代であり、全ての共同体において比類ない卓越性を備えています。アッラーは彼らをその預言者に連れ添わせるために選ばれました。そして彼らはイスラームの大儀のために守り、援助し、財と生命をもってアッラーの道のために努力奮闘しました。アッラーは彼らをお悦びになり、彼らもまたアッラーに満足しました。またムハージルアンサール[2]に優越しています。

 

アブドッラー・ブン・マスウード(彼にアッラーのご満悦あれ)は預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)がこう言ったと伝えています:「最良の人々は私の世代であり、それに次ぐのがその次の世代、それに次ぐのがそのまた次の世代である。それからシャハーダ(信仰告白)を何かの誓いに合わせ用い、何かの誓いにシャハーダを合わせ用いるような人々が現れるであろう。」[3](アル=ブハーリーとムスリムの伝承[4]

 

● サハーバ(教友たち)に対する敬愛:

 

全てのムスリムはサハーバ(教友たち)全員を心でもって愛し、舌でもって讃え、彼らを慈しむとともに彼らのためにアッラーからのお赦しを請う義務があります。また彼らの間に起こった諍いなどに対して口を慎み、彼らを誹謗したりしてはなりません。というのもサハーバ(教友たち)には様々な功績や美点、善行や徳業があり、またアッラーとその使徒を従順さをもって援護し、アッラーの道において努力奮闘したからです。また彼らはイスラームの布教に献身し、移住し、援助しましたし、アッラーのお悦びを求めてその道において財と生命を投げ打ちました。アッラーが彼ら全員をお悦びになりますように。

 

1-至高のアッラーは仰りました:-そしてムハージルーンアンサール[5]の先駆けた先人たちと、イフサーン[6]をもって彼らを踏襲した者たちは、アッラーがお悦びになられ、彼らもアッラーに満足する。そして(アッラーは)彼らのために、その下を河川が流れる天国をご用意された。彼らはそこに永遠に留まる。それこそはこの上なく偉大な勝利なのだ。,(クルアーン9:100)

 

2-至高のアッラーは仰られました:-そして信仰し、移住し、アッラーの道において奮闘した者たち。また住処を提供し、援助した者たち。彼らこそは真の信仰者である。彼らには(アッラーからの)お赦しと、天国の報奨があろう。,(クルアーン8:74)

 

3-アブー・フライラ(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「アッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は言いました:“私のサハーバ(教友)を誹謗してはならない。私のサハーバ(教友)を誹謗してはならない。その御手に我が魂が委ねられているお方に誓って。例えあなた方の誰かがウフド山ほどの金塊を施したとしても、それはサハーバ(教友)の1人が施したものの両手いっぱいの量、あるいはその半分ほどにも及ばないのだから。”」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承[7]

 



[1] サヒーフ・アル=ブハーリー(3)、サヒーフ・ムスリム(160)。文章はムスリムのもの。

[2] 訳者注:「ムハージル」はマッカからマディーナへと宗教迫害を逃れて移住した信仰者で、「アンサール」は彼らをマディーナで迎え入れ、財や住居などの物質的側面と精神的側面から援助した信仰者たち。

[3] 訳者注:つまり自らの誓いの言葉を高めたいがためにシャハーダの言葉「ラー・イラーハ・イッラッラー、ムハンマドゥッラスールッラー(アッラー以外に真に崇拝すべきものはなく、ムハンマドはアッラーの使徒である、というイスラーム信仰の要である信仰告白の言葉)」を発し、あるいは自らのシャハーダの信憑性を高めたいがために誓いの言葉を併せ用いるような、信仰心が堅固でないような人々のこと。

[4] サヒーフ・アル=ブハーリー(2652)、サヒーフ・ムスリム(2533)。文章はアル=ブハーリーのもの。

[5] 訳者注:詳しくは訳者注9を参照のこと。

[6] 訳者注:詳しくは「6.イスラーム」の章を参照のこと。

[7] サヒーフ・アル=ブハーリー(3673)、サヒーフ・ムスリム(2540)。文章はムスリムのもの。

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