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地獄の描写(パート1/5):はじめに
イスラームは地獄のことを、神を信じず、その掟に逆らい、そしてその使徒たちを拒否する者たちのために神によって準備された実質的な場所として教えています。地獄は実在する場所であり、単なる意識上の、あるいは精神的存在などではありません。そこにおける恐怖、苦痛、苦悩、懲罰は全て現実のものですが、しかし地球上におけるそれらとは性格的に異なった種類のものです。地獄は究極的な屈辱及び損失であり、最も忌まわしいものなのです:
「私たちの主よ、あなたは地獄の業火に放り込まれた者を実に辱められます。実に(真理に対して)不正を働いていた者たちには、(その日)援助者はありません。」(クルアーン 3:192)
「神とその使徒(ムハンマド)に逆らう者には誰でも、地獄の業火が用意されており、そこに永遠に留まることになることを彼らは知らないのか?それこそはこの上ない屈辱なのである。」(クルアーン 9:63)
地獄の名称
イスラームの典拠において、地獄の業火にはいくつもの異なった名称があります。そしてその各々には、それぞれ別の形容があるのです。それらの名称のいくつかを、以下に挙げてみましょう:
ジャヒーム(炎):そこから放たれる炎ゆえの名称です。
ジャハンナム(地獄):その壕の深さゆえです。
ラザー(燃え上がる炎):その焔によっています。
サイール(燃え盛る火):点火され、燃え盛る様によっています。
サカル:その灼熱ゆえの名称です。
ハタマ(粉々に粉砕するもの):そこに放り込まれた全てを破壊し、粉々にします。
ハーウィヤ(深淵、または奈落):そこに放り込まれた者は、最上部から最下部まで転落します。
天国と地獄は現存し、かつ永続する
地獄は今この時にも存在し、そして永遠に存在し続けます。地 獄は決して消滅することなく、その住民は永遠にそこに留まり続けるのです。いかなる者もそこから脱出することは不可能ですが、現世において神の唯一性と、 (使徒ムハンマドの到来前に)彼らに遣わされた特定の使徒たちを信じていた罪深い信仰者は、その限りではありません。多神教徒や不信仰者らは、永遠にそこ に住み続けます。この信仰は古代からのもので、クルアーンの明瞭な節の数々と、イスラームの使徒からの信憑性の高い多くの伝承によって裏付けられていま す。そしてクルアーンは地獄に関して過去形で語り、それが既に創造されていることを言明しているのです:
「そして不信仰者のために創られた地獄(に入ることになる諸要因)から身を守るのだ。」(クルアーン 3:131)
イスラームの使徒は、こう言っています:
「あなた方が死ぬと、(来世における)その居場所を朝に夕に見せられることになる。もし天国の住民であれば、天国の住民の居場所を見せられ、地獄の住民であれば、地獄の住民の居場所を見せられるのだ。そして彼には、こう言われる:“これが、神が復活の日にあなたを蘇らせられるまでの、あなたの居場所である。”」(サヒーフ・アル=ブハーリー、サヒーフ・ムスリム収録の伝承)
また別の伝承では、使徒ムハンマドはこう語っています:
「実に信仰者の魂は、神が復活の日にそれを肉体に戻されるその時まで、天国の木にとまった鳥となるのである。」(ムワッタァ・マーリクに収録の伝承)
これらの文章は、地獄と天国が既に存在していること、そして魂は復活の日の前に、そのいずれかに入ることが出来ることを明らかにしています。神は、地獄の永遠性に関してこう仰います:
「彼らは地獄から抜け出したいのだが、そこから出ることは出来ない。そして彼らには永遠の懲罰があるのだ。」(クルアーン 5: 37)
「…そして彼らは地獄から出ることがない。」(クルアーン 2:167)
「実に信仰せず、不正を行う者たちのことを、神はお赦しになられないし、地獄以外のいかなる道へもお導きにはなられない。そして彼らはそこに永遠に留まるのだ。」(クルアーン 4:168-169)
「実に神は不信仰者たちをそのご慈悲から遠ざけられ、彼らに地獄の烈火をご用意される。彼らはそこに永遠に留まり、そこにおいていかなる守護者も援護者も見出すことがない。」(クルアーン 33:64-65)
「神とその使徒に逆らう者は誰でも、地獄の業火が用意されている。そしてそこに永遠に留まることになるのだ。」(クルアーン 72:23)
地獄の管理人
地獄の上には、神に絶対逆らうことのない強力で過酷な天使たちがいます。かれらは、命令されたことをそのまま実行するのです。神は仰っています:
「信仰する者たちよ、あなた方自身とあなた方の家族を地獄の業火(へと招くような事柄)から守るのだ。その燃料は人間と石であり、その上には厳しく荒々しい天使たちがいる。彼らは神が命じられたことに逆らうこともなく、そのご命令を遂行するだけなのである。」(クルアーン 66:6)
また、地獄には19の管理人がいます。神はこう仰います:
「われ(神)は彼(不信仰者)を灼熱の大火に放り込もう。そして灼熱の大火とは何か?(それは)彼らを生かしたままにもしておかなければ、一思いに殺してもくれない。(それは)人類を(様々な懲罰によって見るも無残な形に)変えてしまう。その上には(地獄の管理人として)19の天使がいる。」(クルアーン 74:26-30)
かれらの数が19に過ぎないからと言って、地獄の住民が管理人たちの手を逃れられるなどと思ってはなりません。各管理人は単独でも、全人類を支配する力を備えているのです。クルアーンの中で、神はかれらのことを地獄の番人、と呼ばれています:
「そして地獄の民は地獄の番人たちに言う:“あなた方の主を呼んで、この日の懲罰を軽減させてくれ。”」(クルアーン 40:49)
尚、地獄を監視する天使たちの長の名は、マーリクです。クルアーンには、こう言及されています:
「実に罪深い者たちは永遠に地獄の懲罰の中にある。彼 らは(その懲罰を)軽減されることもなく、その中で絶望している。しかしわれら(神)が彼らに不正を働いたわけではなく、彼らこそが(自らに)不正を働い ていたのである。(地獄の民はこう)呼びかける:「マーリクよ、あなたの主に頼んで一思いに私たちを殺してしまってくれ。」(マーリクは)言う:「いや。 あなた方はそこに留まるのだ。」われらはあなた方に真理を届けたが、あなた方の多くは真理を厭わしく思ったのである。」(クルアーン43:74-78)