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聖書の矛盾性を認めるキリスト教学者たち(1/7):概要
“災いあれ、自分の手で啓典を書き、僅かな代償を得るために、「これはアッラーから下ったものだ。」と言う者に。彼らに災いあれ、その手が記したもののために。彼らに災いあれ、それによって利益を得たために。”(クルアーンの 2:79)
“使徒がアッラーの御許からやって来て、彼らの所持するもの(ユダヤ教徒・キリスト教徒らの啓典)を確証すると、啓典の民の中の一派は、アッラーの啓典をまるで知らなかったかのように、背後に捨てた。”(クルアーン 2:101)
“あなたたちはわたし(神)が命じる言葉に何一つ加えることも、減らすこともしてはならない。わたしが命じるとおりにあなたたちの神、主の戒めを守りなさい。”(申命記 4:2)
まず、最初にひとつ明確にしておきましょう。それはこの地球上において、イエスが聖書を書いたと主張す る聖書学者は誰一人として存在しないということです。学者らは皆、聖書はイエス(彼に平安あれ)の弟子らによって、彼が去った後に書かれたという一致した 見解を示しています。米国シカゴにある有名なキリスト教福音主義の伝道団体、ムーディー聖書学院のグラハム・スクロギー博士はこう述べています:
“ ...確かに聖書は人為的なものですが、一部の熱心な人々は知識に基づかずにこれを否定します。これらの書物は人々の頭脳を伝達し、人々の言語で記され、人々の手によって書き留められ、それらの様式によって人々の性格を運んでいるのです... それは人的ですが、神授のものであるのです。”1
別のキリスト教学者である聖公会エルサレム主教のケネス・クラッグはこう述べます:
“ ...新約聖書はそれに当てはまりません ...簡約、編集の手が加えられているのです。選択的複写があり、証拠もあります。福音書は著者の背後に教会の意向が現れているのです。それらは経験と歴史を代弁しています...”2
“原 始キリスト教における福音書が当初は口伝によって広められ、その結果、言行録に異文が存在することはよく知られた事実です。また、キリスト教の記録が書き 記されるようになった頃でさえ、口頭上の相違が生じていたことも事実です。それらは無意識なものだったのであれ、意図的だったのであれ、筆写家や編集家ら の手によるものだったのです。”3
“事実、新約聖書のすべての書は現在ではパウロの四大書簡以外、多少とも議論の対象となっており、それらの中には改変・追加があると強く主張されています。”4
最も強硬で保守的な三位一体論の擁護者の一人だった、ロベゴット・フリードリヒ・コンスタンティン・フォン・ティッシェンドルフ博士自身、こう認めざるを得ませんでした:
“(新約聖書では)多くの章句の意味に関して深刻な修正が施され、私たちは使徒たちが実際に書いていたこと関して沈痛な疑念を抱かざるを得ないのです。”5
また聖書における多くの矛盾点の一覧を挙げたあと、フレドリック・ケニヨン博士はこう述べています:
“これらのような大きな矛盾点以外にも、(聖書が収集された古代の)写本においては、その言い回しに相違点がない節すら殆どありません。誰一人として、これらの付け加え、または削除が単なる不一致によるものであると言うことは出来ないのです。”6
上記の書では、キリスト教世界における一流の学者らによる、数えきれない程の同様の引用を見出すことが出来ます。ここでは、上に示したもので十分でしょう。
一般的に、キリスト教徒は親切で礼儀正しい人々であり、信仰深い者たちほど慎み深いのです。このことは聖クルアーンにおいても、証言されています:
“ま たあなたは、信仰する者に一番親愛の情を抱いているのは、「私たちはキリスト教徒です。」と言う者であることを知るであろう。これは彼らの間に、司祭と修 道士がいて、彼らが高慢でないためである。あなたは彼らが、使徒に下されたものを聞く時、自分の認めた真理のために、涙を目に溢れさせるのを見るであろ う。彼らは言う。「主よ、私たちは信仰します。私たちを証人の中に書き留めて下さい。”(クルアーン 5:82−83)
1881年以前に改訂された聖書の“改訂本”のすべては、“原始写本”(イエスの時代から500〜600年後のもの)に依拠しています。改訂標準訳聖書(略称:RSV)の改訂者らは、イエス逝去からおよそ300〜400年後の“古代写本”を手に取ることの出来た最初の聖書学者たちでした。論理的には、文書が原典に近ければ近い程、より信頼性も増すはずでしょう。では最も改訂された改訂版聖書(1952年から1971年までに改訂されたもの)について、キリスト教世界ではどのような意見があるのかを見てみましょう:
“今世紀における最も優れた改訂版”(英国国教会新聞)
“最高位の学者による完全に新しい翻訳”(Times literary supplement紙)
“正確な新翻訳を兼ね備えた、親しまれ続ける認定版”(Life and Work紙)
“原典に最も正確で意味の近い訳文”(The Times紙)
そして出版社(Collins) 自ら、注釈の10頁でこのように言及しています:
“この聖書(RSV)は32名の学者と、50の宗派を代表する顧問委員会による協力によって制作されました。”
では、これらの32名のキリスト教最高位学者らと、彼らに協力する50のキリスト教諸宗派からなる顧問委員会が認定版(AV)、もしくは欽定訳聖書(KJV)としてよく知られるものについて、どのように語っているのか見てみましょう。1971年に発行された改訂標準訳聖書の序文では、こう記されています:
“ … しかし、欽定訳聖書には重大な欠陥が存在し... ”
また、彼らはこのように警告しています:
“ … これらの欠陥は極めて多く、極めて危険なものであり、改訂を必要としたのです。”
エホバの証人の機関紙である“AWAKE” 紙の1957年9月8日号では、次のような大見出しとなっています:“聖書における5万の誤記” その中で、彼らはこう主張しています:“ ...聖書にはおよそ5万もの誤記があり... それらは聖書の本文に忍び込まされたものであり … 合計5万にも及ぶのです... ” しかし彼らはこう主張します:“ … 聖書は全体的には正確なのです。” それではこれらの誤記のごく一部について検証していきましょう。
Footnotes:
1 W Graham Scroggie, p. 17
2 The Call of the Minaret, Kenneth Cragg, p 277
3 Peake’s Commentary on the Bible, p. 633
4 Encyclopaedia Brittanica, 12th Ed. Vol. 3, p. 643
5 Secrets of Mount Sinai, James Bentley, p. 117
6 Our Bible and the Ancient Manuscripts, Dr. Frederic Kenyon, Eyre and Spottiswoode, p. 3