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インドラーニーとチャンダラ シンガポール出身の元ヒンズー教徒(中)
チャンダラは神々に対して 祈りを捧げることができなくなっていました。彼の心は唯一なる神のみに崇拝をし、他の神々へは表向きな崇拝だけに留まっていました。しかしながら、彼には 唯一なる神とは何者なのかということが分かりませんでした。当時もチャンダラは時折、トランス状態に入ることがありました。
チャンダラには、ヒンズー教の崇拝に興味を持ったマレーシア人の友達がいました。彼らはチャンダラに対し、詳しくイスラームのことは語らず、唯一なる神だけに祈りを捧げることだけを告げていました。
同僚グループのリーダーだったチャンダラは、マレーシア人たちと外出していましたが、彼らがズフル礼拝をしている間、彼らを待ちつつ、心のなかで神に祈り、正しい道への導きを求めていました。
チャ ンダラは心をなだめる効果のあるアザーンに感心しました。アザーンは彼の心を奥底から揺るがしました。そしてアザーンの後には友人たち、そしてその他のム スリムたちが決してやり過ごすことのない礼拝が続きます。彼は真の神を認知することとは、非常に単純なことであるかのように感じました。「ただかれのみを 崇拝するんだ。どうして沢山の偶像や仲介者が必要だと言うんだろう?」彼が探し求めていたのはイスラーム、そして唯一の神であることに気付くのにそう時間 はかかりませんでした。
結 婚後も、妻のインドラーニーは寺院での活動に積極的に関わっていました。彼女は、自分自身よりも経験なヒンズー教徒だった夫が唯一全能なる神の存在、唯一 なる神への礼拝、そして真の宗教には多くの神々があってはならないこと等についてたびたび言及し出したことに困惑しました。彼女の義母は、元来敬虔だった 息子が今や神々を冒涜していると感じていました。
結 婚後でさえ、チャンダラは悟りへの探求を続けました。彼は心の中で祈っていた唯一神を、ヒンズー教において探し求めました。彼は寺院での活動に興味を示さ なくなり、トランス状態にも入らなくなりました。彼の母はトランス状態にあるとき、彼女の息子の心境の変化はまじないの影響だと指摘しました。
チャ ンダラは、イスラームにおいて神は唯一であること以外、イスラームについては何も知りませんでした。彼は毎日瞑想していましたが、通常は様々な神々の名を 繰り返し唱えていました。しかしある時、神々の名を唱えることに違和感を感じたため、英語でこう言いました。「全能なる神よ、全能なる神よ・・・」瞑想 中、彼はムスリムたちが真実の神に祈っているということを確信しました。
チャ ンダラにとって、イスラームの実践における最大の障害はインドラーニーでした。彼女はムスリムたちを嫌っていた上、寺院での活動に熱心でした。彼は「ペド マン」といったマレーシアのイスラーム番組を見せたりして彼女に影響を与えようとしました。インドラーニーはイスラームに興味を持つことは不必要だと言 い、夫に不満を述べました。彼はその機会に、彼がもはやヒンズー教を信じていないことを彼女に告げました。ヒンズー教には聖典や信仰箇条がないことがその 理由でした。ヒンズー教の起源を発見できなかった彼にとっては、それが祖先によって受け継がれてきた複雑な文化にしか見えませんでした。
彼 はユースフ・アリ訳のクルアーン翻訳本を購入し、そこで見出した諸預言者や人類の起源、天国と地獄についての記述に非常に感銘を受けました。彼は全人類が 知るべきことをそこに見出し、インドラーニーにもそれを読んでみるよう勧めました。偶像崇拝者たちが地獄に投げ込まれることを読んだ彼は、家中の偶像や肖 像画を取り除きました。
チャンダラは、色々な場所からイスラームを学ぶことに専念しました。彼はマレーシア人の友達からもさらにイスラームを学びました。しかし彼らは通常、彼の質問に答えることが出来ませんでした。彼らは彼がイスラーム学者から教えを乞うことを示唆しました。
チャ ンダラはイスラームやキリスト教、シーク教やヒンズー教の本を家に持ち帰るようになりました。そして妻にそれらの宗教を比較してみるよう言ったのです。イ ンドラーニーは自分の宗教であるヒンズー教に満足していたため、関心を示しませんでした。彼女は心の中で、彼が全能かつ唯一なる神といった概念をもって自 分に影響を与えることなどはあり得えず、彼を彼女の宗教に戻ってこさせることを誓っていました。
イ ンドラーニーは、彼が持ち帰った本を読む意図を持っていませんでした。しかしある眠れない夜に、何かが彼女にクルアーンを持たせ、それを読ませたのです。 その後も眠れない夜は、繰り返しクルアーンを手にとって読むようになりました。チャンダラが偶像を家中から取り除いて以来、祈りを捧げる対象をなくした彼 女は心の支えを失っていました。
イ ンドラーニーは夢をみるようになりました。彼女が第一子を妊娠していたとき、彼女はカアバ神殿の夢をみたのです。彼女はその夢について、ムスリムの同僚に 尋ねました。その同僚は自分の父親にそのことを告げました。彼は、カアバ神殿の夢が見れたことは幸運なことであると言いました。