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ペルシャ人のサルマーン 元ゾロアスター教徒(後半):キリスト教からイスラームへ
その男性は亡くなり、サルマーンはアムリアに留まりました。ある日、“カルブ族1の商人たちが私の元を通りかかりました。” サルマーンは言います。“ 私は彼らに言った。‘私をアラビアに連れていってくれれば、私の牛と羊を差し上げよう。’ 彼らは言った。“よ ろしい。” サルマーンは申し出通りのものを彼らに差し出し、彼らは彼を一緒に連れて行きました。彼らが(マディーナ近郊の)ワーディー・アル=クラーに たどり着いたとき、彼らはユダヤ人たちに彼を奴隷として売り飛ばしました。サルマーンはユダヤ人たちと留まり、彼は(過去に師から告げられていた)ヤシの 木を目にしました。
“私はここが、師から告げられていた場所であることを願った。”
ある日、マディーナのユダヤ人部族のバニー・クライザの元にサルマーンの主人の従兄弟が訪れ、サルマーンを彼のユダヤ人の主人から買い取りました。
“彼は私をマディーナまで連れて行きました。神に誓って! そこを目にしたとき、師が述べていた場所であることが分かりました。
そして神は、かれの使徒(ムハンマド――彼に神の慈悲と祝福あれ)を遣わしました2。彼はマッカに長い間留まっていました3。私は奴隷としての仕事に忙しかったため、彼については何も耳にしていませんでしたが、彼はマディーナに移り住んで来ました。
(ある日、)私は主人のためにヤシの木に上り、ヤシの実の房を取る仕事をしていました。彼の従兄弟が訪れ、彼(座っていたサルマーンの主人)の前に立ち止まって言いました。“バニー・キーラ(キーラ族の人々)に災いあれ! 彼らはクバー4で、今日マッカから到着した預言者と自称する者の周りに集っている!”
私はそれを聞いたとき激しく震え、主人の上に落っこちるのではないかと恐れた程でした。私は木を降り、こう言いました。‘何のことを話しているのですか!? 何のことを話しているのですか!?’
主人は怒って私を殴り、こう言いました。“この件とお前に何の関係があるというのだ? さっさと仕事に戻れ!”
私は言いました。“何も関係ありません! ただ、彼の言っていたことを確かめたかっただけです。”
その日の夜、私は神の使徒を一目見ようとクバーまで行きました。私はそれまで蓄えていた、ある物を一緒に持って行きました。そして彼にこう言いました。“私はあなたが誠実な人物で、(ここでは)よそ者であるあなたのお仲間が困窮していることを知りました。私が蓄えてきたものを喜捨として提供したいと思います。私はあなたこそが誰よりもこれにふさわしいとお見受けします。”
私は彼に提供しました。彼は教友たちに“食べなさい”と言いましたが、彼自身はそれに手を付けませんでした。私は自分自身に言いました。“これは(預言者のしるしの)一つ目だ。”
この預言者(神の慈悲と祝福あれ)との出会いの後、サルマーンは別の審査を行いました。次の機会に、預言者へ贈り物を持って行きました。
“私はあなたが喜捨として差し出されたものを食べないことに気付きました。それゆえ、これは私からのあなたへの名誉としての贈り物です。” 預言者はそれを食べ、彼の教友たちにもそうするよう命じました。私は自分自身に言いました。“これで、(預言者のしるしは)2つ目だ。”
3度目の出会いにおいて、サルマーンは預言者(神の慈悲と祝福あれ)がある教友の葬儀に出席していたアル=バキーウに出向きました。サルマーンは言いました。
“私 は彼に(「あなたに平安あれ」というイスラームの)挨拶をし、師に教わっていた(預言者の)封印を見るために彼の背後に回った。私がそうするのを目にした 彼は、私が説明されたことを確認しようとしていたことに気付いた。彼は背中をさらけ出したので、私は封印を見て、そこにあることを確認した。私はそれにし がみつき、口づけをしつつ泣き始めた。神の使徒(神の慈悲と祝福あれ)は(話が出来るよう)正面に来るよう私に言った。私はあなた、イブン・アッバースに 話した物語(彼はここでイブン・アッバースに物語を語っています)を彼にも話した。彼(預言者)はそれを大変気に入り、彼の教友たちにも私の物語を語るよ う望んだ。
彼は依然として、主人に所有された身分の奴隷でした。預言者は彼に言いました。“サルマーンよ、(あなたの主人と)自由になる契約を結ぶのだ。” サルマーンはそれに従い、(彼の主人から)自由になるための契約を結びました。彼が主人と合意に至ったのは、40オンスの金を支払い、300本の新たなヤシの木を植え、それらを無事育てるというものでした。預言者は教友たちに言いました。“あなたがたの兄弟を助けるのです。”
彼らはサルマーンのため、指定された木々を集めました。預言者はサルマーンに苗木を植えるための穴を掘るよう命じ、彼は自分の手でそれらすべての苗木を植え付けました。サルマーンは言いました。“私の魂がその御手にある御方(神)にかけて。苗木は一本たりとも枯れませんでした。”
サルマーンは主人にそれらの木々を差し出しました。それから預言者はサルマーンに、鶏の卵の大きさの金塊を手渡し、こう言いました。“サルマーンよ、これを受け取るのだ。そして(あなたの主人への)借りを返すのだ。”
サルマーンは言いました。“私の借りに対して、これはいくら程あるのですか!”
預言者は言いました。“受け取るのだ。神はそれをあなたの借りと同等のものとしてくれよう。”5
私はそれを受け取り、重さを量ると、丁度40オンスありました。サルマーンはその金塊を主人に差し出しました。彼は契約の合意事項を果たし、開放されたのです。
それ以来、サルマーンは預言者の最も近い教友の一人となりました。
真理の探求
アブー・フライラという偉大な教友の一人はこう報告しています。
“私が神の使徒と座っていると、スーラ・アル=ジュムア(第62章)が啓示されました。彼はこれらの言葉を朗誦しました。
“そして(神がムハンマドを遣わしたのは、)かれらの中で未だ来ぬ他の者たちに対しても教えを授けられる。”(クルアーン62:3)
彼らの中の一人が言いました。‘神の使徒よ!未だ来ぬ他の者たちとは誰のことでしょうか?’
神の使徒は返事をしませんでした。ペルシャ人サルマーンが私たちの中にいました。神の使徒はサルマーンに手を置き、こう言いました。‘私の魂がその御手にある御方にかけて。たとえ信仰がプレアデス(星団)の近くにあったとしても、これらの者たち(サルマーンの仲間たち)は間違いなくそれを得るであろう。”(アッ=ティルミズィー)
サ ルマーンのように、この世界の多くの人々は真実なる唯一の神についての真理を探求します。このサルマーンの物語は、私たちの時代の人々の物語と類似してい ます。ある人々は教会から教会へと移り、教会から仏教、ユダヤ教、中立主義、または宗教から瞑想、精神療法などへと移り変わります。ある概念から別の概念 へと移る人々もいますが、イスラームについては知ろうともしない人々が殆どです。しかし彼らがムスリムと出会うと、心を開くようになります。サルマーンの 物語は、長い探求の物語です。あなたは彼の物語から益することによって、真理の探求を短いものにすることが出来るのです。