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家族の絆(2/4):夫婦の役割

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1461 2015/06/28 2024/04/20

婚姻とは、イスラームにおいて非常に重要な制度 です。クルアーンでは、男女間の絆が明確にされています。神はクルアーンの中の多くの箇所で、人類の根源は同じであると喚起します。この絆によって男女は 相互作用し、この絆によってお互いの権利が確立されるのです。神は“女性章”と名付けられた第4章の冒頭でこのように述べられています:

“人々 よ、汝らの主を畏れよ。かれは一つの魂から汝らを創り、またその魂から配偶者を創り、両人から、無数の男と女を増やし広められた方であられる。汝らはアッ ラーを畏れよ。かれの御名においてお互いに頼みごとをする御方であられる。また近親の絆を(尊重せよ)。本当にアッラーは汝らを絶えず見守られる。”(ク ルアーン 4:1

し かしながら、二つの性が共有するものはその起源だけではありません。配偶者同士によるお互いへの愛情と思いやりは、神によって創造され、その心に植えつけ られたものです。そして神は、それが熟慮する人々に対するかれの明確な徴であることを指摘されています。言い換えれば、このような人々は創造に関するこの ような側面を捉え、神の御業とかれの御力の偉大さ、そしてかれの創造の完璧さと現世に添えられた大いなるご慈悲に思いを馳せることが出来るのです。神はこ う仰せられています:

“またかれが汝ら自身から、汝らのために配偶を創られたのは、かれの徴の一つである。汝らは彼女らによって安らぎを得るよう(取り計らわれ)、汝らの間に愛と情けの念を植え付けられる。本当にその中には、考え深い者への徴がある。”(クルアーン 39:21

また、神はこのようにも仰せられています:

“かれこそは、一個の魂(アーダム)から汝らを創り、互いに慰安を得るため、その妻を創られた御方であられる。”(クルアーン 7:189

それ故クルアーンによると、男性と妻との関係は愛情、慈悲、そして相互理解に基づいたものであるべきだとされています。神はまた、次の節で妻に対する親切を命じられています:

“出来るだけ仲良く、彼女らと暮らすのだ。汝らが、彼女らを嫌っても(忍耐せよ)。その内(嫌っている点)にアッラーからよいことを授かるであろう。”(クルアーン 4:19

イ スラームにおける婚姻関係の目的についても、少し述べなければなりません。なぜなら多くの人々は婚姻における目的の役割を理解せずに結婚するか、もしくは そうすることを望んでいるからです。また、彼らは結婚した際に彼らにのしかかる様々な義務を理解しません。しかしながら婚姻の目的が知られ、婚姻に伴う義 務が初めから理解されていれば、婚姻関係の成功と質の向上が望まれるでしょう。そうすることにより彼は、自分の義務・責任そして権利を含め、自分に要求さ れていることを知るのです。

婚姻の目的とは単なる“享楽”、または“動物的欲求”を満たすためだけのものでは決してありません。婚姻にはそれ以上の意義があります。婚姻による目的の一部には、次のものが含まれます2:生殖、(認可された形での)肉体的快楽、自己成熟の達成、人生におけるお互いの協力関係の構築、精神的・生理的利益の享受、倫理的社会の基礎形成、そして最も道徳的・精神的な成長を促し、かつ人々と家族の固い結束が見られる環境における次世代教育などです。

夫婦の権利

婚 姻関係を円満にするためには、夫婦それぞれが自分の権利、責任、役割と義務を完全に理解するべきです。イスラーム法はこのためにムスリム夫婦の権利や責任 を非常に明確に打ち出しています。しかし全ての既婚者は、自分の配偶者は第一にムスリム個人であることをはっきり理解しなければなりません。彼/彼女は、自らの兄弟/ 姉妹なのです。それ故、イスラームにおける一般的同胞愛によりムスリムに適用されるあらゆる権利は、個人の配偶者にも適用されるのです。ムスリムの品行、 同胞愛、ムスリム間の結束に関する書物は沢山ありますが、これら全ての原理はイスラーム的同胞愛と地域社会の一部である、既婚者にも当てはまるのです。更 に、預言者(神の慈悲と祝福あれ)はこの点を強調してこう述べています:

“あなた方が、自分自身に対して望むことを自分の兄弟に対しても望むようにならない限り、それは真の信仰ではないのだ。”(サヒーフ・アル=ブハーリー、サヒーフ・ムスリム)

しかしながら、配偶者同士によって取り交わされた重要な契約により、配偶者には更なる権利があることも事実です。3

そ れ故夫婦の権利に関して議論される場合、その問題を単に法的なものと捉えてはなりません。夫婦関係とは、各々を拘束する法によって定められる権利よりも大 きなものなのです。夫婦関係とは愛情、援助、相互理解に基づいた関係であるべきです。配偶者はそれぞれのニーズと能力が考慮されるべきです。彼らは時には 妥協してでもお互いを満足させなければならず、単に婚姻関係における権利の確保を求めるだけであってはならないのです。事実、通常は配偶者のどちらも他者 の権利を完全に満たし、相手を満足させていない場合が多いのです。だからお互いは自らの欠点に気付き、それを認めなければなりません。

預言者は、特に夫に対し妻を最善の方法で満足させるよう助言しています。それは恐らく、一般的に彼らが有する権威と力によるものでしょう。預言者はこう述べられました:

“あなた方の内の最善の者とは家族(妻)に最善を尽くす者であり、私は自分の家族に関して、あなた方の内の最善の者である。”(アッ=ティルミズィーとイブン・マージャ)



Footnotes:

1 婚姻におけるイスラーム法の詳細に関しては、著者の作品 “The Fiqh of the Family, Marriage and Divorce” (American Open University, 1997年), をご参照下さい。ここで繰り広げられる議論は、この著作からの項目に基づいています。

2 アブドッラフマーン・アブドル=ハーリク, Al-Zawaaj fi Dhill al-Islaam (クウェート: al-Daar al-Salafiyyah, 1988年), 21頁以降を参照。

3 神はクルアーンにおいて述べられています:“汝らは、どうしてそれを取り戻すことが出来ようか。既に互いに深い関係もあり、彼女らは堅い誓約を汝らから得ているのである。”(クルアーン 421

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