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  3. .女性への一般的配慮とイスラームにおける男女同権、 そして男女の相互補助的な性質

.女性への一般的配慮とイスラームにおける男女同権、 そして男女の相互補助的な性質

1221 2012/12/03 2024/04/25

ある観点から見れば、男女は共に人間であり、似通った魂、脳、心臓、肺、肢体等を備えていることから、同権は可能であり、そしてそれは道理にかなうものです。しかしもう一つの観点から見てみると、物理的、精神的、感情的そして性質や能力的観点からも、男女同権は不可能かつ不条理なのです。私たちはこれらの観点の間に足を踏み入れ、いかに男女双方が対等であり相互補助的であるかを照らし出さなければなりません。


男女のいずれに関わらず、そしてたとえ同性間であっても、個人の体力などの先天的な資質は異なっています。そして同性間において完全に対等であることが不可能であるならば、異性間において不可能であることは言うまでもありません。至高かつ全能者であるアッラーは、クルアーンの中でこう仰せられています:

(またわれらは、全てのものを両性に創った。汝らは訓戒を(アッラーの慈悲として)受け入れるであろう。) [51:49]

 

このような相互関係の役割を持つ二元的な要素は、陽と負の性質を有する分子やイオンといった原子レベルの世界にも存在し、いわゆる二元体として全体の組織においてそれぞれ重要な役割を担っています。ほとんどの生命体には生殖の目的により、雄と雌の性が存在します。生物学が私たちに教えるように、全ての哺乳類は性別を特定する分子と外分泌腺の構造に共通性があるのです。こういった物理的、心理的、性的な基本的性質は、人生の他の領域においてもはっきりとした影響を与えているのです。


男性が女性から安楽を求め、それを得ようとすることはごく自然であり、その逆も同様であることは、それぞれがお互いのために創造されていることによります。お互いは引き離すことの出来ない存在なのです。お互いにとって、友であり配偶者であるという合法かつ尊敬すべき相手を持たずして、安楽を得ることは出来ません。アッラー (U) はその聖なる書クルアーンにおいて、二つの節でこのように仰せられています:

 

(人類よ、われらは一人の男と一人の女から汝らを創造し、種族と部族とに分けた。これは汝らを、互いに知り合うようにさせるためである。アッラーの御許で最も高貴なる者は、汝らの中最も主を畏れる者である。アッラーこそは全知者であり、すべてを見透す御方である。)[49:13]

 

イスラームでは多くの場面において、女性と男性が同等に扱われています。その一部を以下に挙げてみましょう。またこれ以降の章では後述されるような様々な内容のテーマに関し、この小冊子の残りを使って拡大しつつ展開させていきます。

1)男女は共に人類として同等であるということ。イスラームでは、例えばアダム (u) が楽園から追放された原因となる“原罪”によって女性を悪の根源であるとしたり、パンドラの箱を開けることにより世界に悪をもたらしたいう寓話や、一部宗教の教義にあるような手法でもって女性を分類したりしません。

至高かつ全能なるアッラーは、聖クルアーンにおいて仰せられています:

 

(人類よ、汝らの主を畏れなさい。かれは一つの魂(アダム)から汝らを創り、またその魂から配偶者(イブ)を創り、両人から、無数の男と女を増やし広められた御方であられる。) [4:1]

 

またアッラーは、聖クルアーンでこのようにも仰せられています:

 

(人間は、(目的もなく)そのままで放任されると思うのか。元々彼は射出された、一滴の精液ではなかったか。それから一塊の血となり、更にアッラーが、(均整に)形作り、かれは、人間を男と女の両性になされたのではなかったか。それでもかれには、死者を甦らせる御力がないとするのか。) [75:36-40]

 

アッラーは上記の節において、御自身によって一つの根源から両性が創造されたことを描写されています。人類としての資格には両性に違いはないこと、そして一つの種族として、相互補助的な役割がお互いに与えられていることが分かります。イスラームは、女性が本質的に劣等であると貶めるような、過去の不正な法を廃棄したのです。預言者 (r) はこのように述べられています。

 

実に女性とは、男性の片割れなのである。" [アブー・ダーウード 234番、 アッ=ティルミズィー  113番、その他]

 

2)男女には共通の宗教的義務と儀礼が課せられています。信仰宣言(シャハーダ)、礼拝(サラー)、義務の喜捨(ザカー)、斎戒(サウム)、そして巡礼(ハッジ)はそれぞれ等しく両性に課せられているものです。特定の場面においては、女性が困難を見出さないように条件が緩和される場合もあります。例えば月経中や産後の出血といった場合においては、女性の健康と身体的状態が考慮され、礼拝と斎戒の義務が免除されます。斎戒の出来なかった日数分は後日にやり直さなければなりませんが、礼拝については負担となることからそのやり直しは要求されません。

3)従順への報奨と不従順への懲罰は、現世と来世において男女双方にとって同様のものであること。聖クルアーンにおいて、アッラーはこのように仰せられています:

 

(誰であれ善い行いをし、(真の)信仰者ならば、男でも女でも、われらは必ず幸せな生活を送らせるであろう。なおわれらは彼らが行った最も優れたものによって報奨を与えるのである。) [16:97]

 

また最も荘厳なる主は、こうも仰せられました:

 

(本当にムスリムの男と女、信仰する男と女、献身的な男と女、正直な男と女、堅忍な男と女、謙虚な男と女、施しをする男と女、斎戒(断食)する男と女、貞節な男と女、アッラーを多く唱念する男と女、これらの者のために、アッラーは罪を赦し、偉大な報奨を準備なされる。) [33:35]

 

4)男性と同じように、女性にも貞節、誠実さ、個人の名誉などの保護を保障する一般的権利が与えられており、また道徳的義務に関しても同様のものが課されています。ここにおいてダブルスタンダードは一切認められていません。例えば貞節な女性に対し、姦通をしたという虚偽の告発をした者は公開の鞭打ち刑に処せられます。至高なるアッラーは、聖クルアーンの中でこのように仰せられています:

(貞節な女を告発して四名の証人を上げられない者には、八十回の鞭打ちを加えなさい。決してこのような者の証言を受け入れてはならない。彼らは主の掟に背く者たちである。) [24:4]

 

5)女性の金銭取引や資産保有は男性同様に認められ、かつ女性はその資格を有します。イスラーム法では、女性が後見人の同伴なしに所有や売買などの経済活動を行うことが、規制や制限を課されることなく認められています。こういったことは近代に入るまで、いかなる社会にも見られませんでした。

6)イスラームでは、女性に栄誉を与え、敬意を示し、正当に、かつ誠実に女性と接する男性は健康的で真摯な性格を備えた者であるとし、女性を不当に扱う男性は不誠実で敬意に値しない者であるとしています。預言者(r) はこのように述べられています。

最も完全な信仰者とは、最も良い性格を備えた者である。そしてあなた方の内最善の者とは女性たちに最善を尽くす者なのである。” [アッ=ティルミズィー 1162 ]

 

7)イスラームでは、女性が男性と同じように教育を受け、教養を身に付ける権利を有します。伝承学者により真性の評価がされている次の伝承において、預言者(r)はこのように述べたとされます。

知識の探求は、全ムスリムにそれぞれ課されているのだ (つまり男女双方に対して)” [イブン・マージャ 224番と、アル=バイハキー ]

 

上の括弧内で示されているように、ムスリム学者たちは啓典における“ムスリム”という言葉が、男女双方を指していることで合意しています。従ってイスラームは女性に対し、宗教・社会的義務を理解出来るように教育の権利を与えると共に、女性が最善の努力によってイスラーム的な子供の養育をするよう義務付けているのです。もちろん子供の養育に関しては、自身の能力に相応しい方法を用いるといった特定の義務が女性にはあり、男性には家族単位の共同責任に加え、経済的援助や家族の保護、扶養の責任といった補足的義務があります。

預言者 (r) はこう述べられています:

 

誰であれ、二人の少女を思春期に達するまで養育する者は、私と共にこのようにして復活の日を迎えるだろう。” そう言うと、アッラーの使徒 (r) はご自身の2本の指を合わせてその様子を表現しました。 [ムスリム 2631]

 

また奴隷少女に関して、預言者 (r) はこう述べられています:

 

誰であれ、奴隷少女を保有する者(奴隷の後見人の立場の者)が最善の態度でもって彼女を訓練しつつ良い処遇をし、かつ彼女を解放した上で結婚する者には二重の報奨があるだろう。” [ブハーリー 97番、 ムスリム 154]

 

8)男女には同様に、その能力の許す範囲において、社会を改善し正していく義務と責任が属します。男女は共に勧善懲悪の責任を等しく担います。至高なるアッラーは、クルアーンにおいてこう仰せられています:

 

(男の信者も女の信者も、(互いに助け合い、支え合う間柄の)仲間である。彼らは正しいことを勧め、悪を禁じる。また礼拝の務めを守り、ザカー(定めの喜捨)を施し、アッラーとその使徒に従う。これらの者に、アッラーは慈悲を与える。アッラーこそは全知全能であられる。) [9:71]

 

9)男女にはザカー(定めの喜捨)を施す義務があるのと同じように、規定された量の遺産相続を受ける権利があります。全てのムスリム学者たちはこれについて合意しています。多くの社会においては想像もつかなかった、女性の相続権に関する詳細は後述することにしましょう。

 

アッラー (U) はこのように仰せられています:

 

(男は両親および近親の遺産の一部を得、女もまた両親及び近親の遺産の一部を得る。その際には遺産の大小に関わらず、規定されたように配分しなさい。) [4:7]

 

10)女性は男性と同じように、避難を求めるムスリムに対して保護することが出来ます。至高なるアッラーは仰せられています:

 

(もし多神教徒の中に、汝に保護を求める者があれば、保護し、アッラーの御言葉を聞かせ、その後彼を安全な所に送れ。) [9:71]

 

またアッラーの使徒 (r) はこのように述べられました:

 

・・・そしてムスリムへの保護はつであり、それらの内でも最も少ない者には保護を与えるべきである。また誰であれ、ムスリムの権利を奪う者にはアッラーとかれの天使たち、に全人類による呪いがあり、悔悟や贖罪は彼からは受け入れられないのである・・・”  [ブハーリー 3008] 

これは、アッラーの使徒 (r)の教友女性の一人であるウンム・ハニー(ハーニーの母)の有名な物語からも、同様に証明されています。彼女はマッカ解放の日に彼女の元に避難して来た、(過去の確執から)殺害の脅迫を受けていたある多神教徒を保護しました。それについてアッラーの使徒 (r) はこう言われました:

 ウンム・ハーニーよ、私たちはそれが誰であれ、あなたがかくまう者をかくまい、保護を与える。” [ブハーリー 350]

 

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