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イスラームの精神的側面
崇拝
崇拝とはイスラームにおいて一般的に、それが言葉か行為か信仰かに関わらず、アッラーの命に服従することを意味しています。信条的な崇拝行為は“信仰の柱”と呼ばれており、以下に説明されているものです。
アッラーへの信仰
アッラーへの信仰は、かれが以下の物事において唯一無二であることを必然的なものとします:
[1]アッラーがその主権において唯一であること:これはアッラーが存在し、かれこそがこの全宇宙の創造主かつ所有者であり、そこにおけるあらゆる物事を司るお方だということを証言することです。かれこそが全存在を存在せしめるお方であり、かれの御意志なしには何事も発生しないのです。至高のアッラーはこう仰いました:
-かれにこそ創造と全ての権限は属する。万象の主アッラーの崇高さよ。,(クルアーン7:54)
アッラーはかれが唯一の創造主であり、かれと共に他の創造者があることはあり得ないことを明確にしています。至高のアッラーはこう仰っています:
-アッラーは(ご自身の)子供などお創りにもならなければ、(ご自身と)共に拝されるいかなる崇拝すべき対象もお持ちにならない。(もしそのようなことがあったら)全ての神は各々の創造物と共に分裂し、そして互いに高位を競い合ったであろう。アッラーは彼らの描写すること(つまり神の性質における欠陥や不完全性)から遥かに無縁な崇高なお方である。,(クルアーン23:91)
[2]アッラーのみが崇拝される権利を有しているということ:これはアッラーのみが真の神性であり、崇拝に値する唯一の存在であり、かつ全ての崇拝行為はかれに向かって捧げなければならないということを信仰することです。人はかれを差し置いてかれ以外の何かに全面的に依拠したり、あるいは祈願したりするべきではありません。害悪の駆除や願い事の成就にあたっては、かれのみに祈願しなければならないのです。至高のアッラーはこう仰いました:
-あなた以前にわれら(アッラーのこと)が遣わした使徒の内で、「われ(アッラーのこと)の他に神はない。だからわれを崇拝するのだ。」という啓示を与えなかった者はいなかったのである。,(クルアーン21:25)
[3]アッラーがその御名と属性において唯一であること:これはアッラーがその御名と属性において唯一であり、かれにのみ最善かつ最高の名称と属性が帰せられ、かれがあらゆる欠陥から無縁な存在であることを信仰しなければならないということです。至高のアッラーはこう仰いました:
-そしてアッラーにこそ美名が属するのであるから、それをもってかれに祈願するのだ。かれの美名をないがしろにするような輩は放っておくがいい。,(クルアーン7:180)
またムスリムは、アッラーご自身と預言者ムハンマド(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)がかれを表した名称や属性を、その具体的意味を保留したり、被造物のそれと相似させたり、または歪めたり否定したりすることなく信仰しなければなりません。至高のアッラーはこう仰いました:
-かれ(アッラー)に似たものは何一つない。にも関わらず、かれは全てを聞き、ご覧になられるお方なのである。,(クルアーン42:11)
諸天使への信仰
これは天使という、異なった生命体の存在を信仰することを意味します。アッラー以外に彼らの正確な数を知る者はありません。彼らはただアッラーに服従し、その命令を遂行し、全世界とそこに居住する被造物を守っています。また彼らはアッラーの御意志とご命令に基づき、全世界における物事の遂行や監視、そして被造物の保護などの役割を果たしています。至高のアッラーはこう仰いました:
-そして(アッラーの命によって)諸事を遂行する者たち(天使のこと)にかけて。,(クルアーン79:5)
またアッラーはこのようにも仰っています:
-そして(アッラーから託された)物事を、(そのご命令通りに)分配する者たち(天使のこと)にかけて。,(クルアーン51:4)
天使は光から創造されました。アッラーの使徒(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)はこう言っています:
「天使は光から、ジン(精霊的存在)は無煙の炎から、そしてアダムはあなた方に示された物(土塊)から造られた。」(ムスリムの伝承)
天使は不可知の領域の存在です。彼らは光から造られたにも関わらず、視覚で捉えることが出来ません。しかしアッラーは彼らの姿が見えるよう、その姿を変化させる能力を与えました。アッラーは天使ガブリエルが人間の男性の姿でマリヤのもとを訪れたことに言及していますし、またその事実は聖書にも描写されています。至高のアッラーはこう仰いました:
-それで彼女(マリヤ)は、彼らから(身を遮る)幕を垂れた。それからわれら(アッラーのこと)は彼女に、われらの精霊(天使ガブリエル)を遣わした。彼は一人の完全な男性の姿で彼女の前に現れた。彼女は言った:「私はあなたに対し、最も慈悲深いお方のご加護を乞います。もしかれを畏れるのならば(、私に近付かないで下さい)。」彼は言った:「私はあなたに清純な男子を授けるために、あなたの主から遣わされた者です。」,(クルアーン19:17-19)
また預言者ムハンマド(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は、天使ガブリエルをアッラーが創造したままの姿で目撃しています。それは六百の翼を備え、その巨大さゆえに地平線を覆ったとまで伝えられています。
天使は翼を有していますが、その数は二枚、三枚、あるいはそれ以上、と様々です。至高のアッラーはこう仰いました:
-天地を裂いて生成されたお方、アッラーにこそ全ての讃美あれ。天使たちを二枚、三枚、四枚と翼を備えさせ、使徒となされたお方。(かれは)その創造に、お望みのままに付け加えられる。実にアッラーは全てのことがお出来になるお方である。,(クルアーン35:1)
一方彼らのそれ以外の性質については、アッラーは何も述べてはいません。ただ彼らの役割や分担について、私たちに教示してくれるだけです。
天使たちは常にアッラーを崇拝し、かれに服従し、また讃美しています。至高のアッラーはこう仰いました:
-(天使たちは)昼夜に(その主の)崇高さを讃美し、休むこともないのだ。,(クルアーン21:19-20)
また彼らが創造されたのもやはりアッラーを崇拝し、そしてかれに服従するためです。至高のアッラーはこう仰いました:
-メシア(イエス)は、アッラーのしもべであることを慢じたりはしない。またかれのお傍に召されている天使たちも、同様である。…,(クルアーン4:172)
また天使はアッラーと、人類であるその使徒たちとの間の特使の役割を担っています。至高のアッラーはこう仰いました:
-そしてそれ(クルアーン)は万有の主からの啓示である。(それは)忠義なる魂(ガブリエル)によって下った。警告者となるべく、あなたの心に。明瞭なアラビア語によって。,(クルアーン26:192-195)
またアッラーは、彼らを様々な役割を遂行させるために創造しました:
-彼ら(天使たち)はその上にそびえておられる彼らの主を畏れ、かれに命じられるままのことを遂行する。,(クルアーン16:50)
天使はアッラーの子供などではありませんが、敬意を払われ、愛されるべき存在です。至高のアッラーはこう仰っています:
-そして(不信仰者たちは)言う:「慈悲深いお方(アッラーのこと)は子をもうけられた。」かれは(そのようなこととは)無縁な崇高なるお方である。彼ら(天使たち)は栄誉高いしもべであるのだ。彼らはかれ(アッラーのこと)に先んじて喋ることもなく、ただかれの命を遂行するのみである。,(クルアーン21:26-27)
また天使はアッラーの共同者でも、連れ合いでも、同位者でもありません。至高のアッラーはこう仰いました:
-そして天使や使徒たちを主とせよ、などとあなた方に命じることもあり得ない。あなた方がムスリム(アッラーの教えを受け容れた者)になった後、一体かれがあなた方に不信仰を命じることなどがあろうか?,(クルアーン3:80)
アッラーはある種の天使の名称と役割を明らかにしています。例えばガブリエルは啓示の伝達の役割を担っています。至高のアッラーはこう仰いました:
-(クルアーンは)忠義なる魂(ガブリエル)によって下った。警告者となるべく、あなたの心に。明瞭なアラビア語によって。,(クルアーン26:193-195)
またミカエルは雨と植生の役割を担います。至高のアッラーはこう仰いました:
-アッラーとその天使たち、そしてその使徒たちとジブリールとミーカーイールに敵対する者があろうと、実にアッラーこそは不信仰者たちにとっての敵なのである。,(クルアーン2:98)
また死の天使は、人が死ぬ時にその魂を収集する役目を託されています。至高のアッラーはこう仰いました:
-言え、「あなた方に託された死の天使があなた方(の寿命)を満了させ、それからあなた方はその主の御許へと戻されるのだ」。,(クルアーン32:11)
またイスラーフィールは、復活の日にラッパを吹く役目を担っています。 至高のアッラーはこう仰いました:
-それからラッパが吹かれる。その日(審判の日)彼らの血縁関係は(その意味が)失われ、互いに(安否を)尋ね合うこともない。,(クルアーン23:101)
またマーリクは地獄の業火の番人です。 至高のアッラーはこう仰いました:
-(地獄の民はこう)呼びかける:「マーリクよ、あなたの主に頼んで一思いに私たちを殺してしまってくれ。」(マーリク)は言う:「いや。あなた方はそこに留まるのだ。」,(クルアーン43:77)
またザバーニーヤは地獄の住人を罰する役目を担っています。至高のアッラーはこう仰いました:
-それゆえ彼の一味を呼んで来させるがよい。われら(アッラーのこと)はザバーニヤを呼んでやろう。,(96:17-18)
また全ての者には二人の天使がついています。一人はその善行を、そしてもう一人はその罪を記録するよう命じられているのです。至高のアッラーはこう仰いました:
-二人の受け取る者(天使)が(人の)右と左に座して、(その言葉や行い)を受け取るのだ。(人が)語る全ての言葉は、記録し看視する者の面前を免れることはない。,(クルアーン50:17-18)
また天国の万人を勤めるリドワーンという天使もいますし、人間を守る役割を委ねられた天使もいます。天使の種類はもっと沢山ありますが、いずれも特定の役割を担っています。その内のある者たちはクルアーンとハディースの中で言及されており、またある者たちは言及されてはいませんが、ムスリムは彼ら全てを包括的な形で信仰しなければならないとされています。