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定命への信仰がもたらす諸利益
定命への信仰がもたらす諸利益
定命への信仰により、以下のような諸利益がもたらされます:
[1]定命への信仰は、良心と心の安らぎをもたらします。というのもこの信仰によって、何らかの結果や起こりもしなかったことゆえに悲しむことが少なくなるからです。心の不安や心配は欝やストレスなど、身体に好ましくない影響を及ぼす様々な精神的障害の原因となります。そして定命への信仰こそは、このような病に治療法と予防法を提供しているのです。至高のアッラーはこう仰いました:
-地上で、そしてあなた方の内に起こるいかなる災難も、それが創造される前にアッ=ラウフ・アル=マフフーズ(護られた碑版)の中に定められていないことはないのである。実にそのようなことはアッラーにとって容易いことなのだ。それはあなた方が過ぎ去ったことに後悔せず、(アッラーが)あなた方に与えられたものにおいて悦に入らないようにするためである。アッラーは全ての自惚れ屋と高慢な者を愛でられない。,(クルアーン57:22-23)
[2] 定命への信仰は、アッラーがこの宇宙に創造したものの探索や研究へと促します。例えば病気は人にその治療法を模索させますし、そしてそれは至高のアッラーがこの宇宙に創造した医療の源泉を探索することによって得られるのです。
[3]この信仰により、災難の苦しみや後悔の念を抑えることが出来ます。財産を失うことは一つの苦難ですが、人がそれによって悲しめば二つの苦難‐つまり災厄による苦難と、悲痛による苦難‐を蒙ったことになります。しかし定命を信じる者は、どのような結果になろうともそれを喜んで受け入れるものなのです。アッラーの使徒(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)は言いました:
「アッラーは脆弱な信仰者よりも、強い信仰者を愛でられる。そしてそのいずれも善いのである。あなたを益する行為に熱心であり、かつアッラーのご援助を乞うのだ。そしてそこにおいて怠慢であってはならない。そしていかなる災厄があなたを襲っても、“ああ、もしあのようにしていたらなあ”などとは言わず、“これはアッラーからの定命。かれはお望みのことをなされる”と言うのだ。というのも“もし”は、悪魔の行いに通じる扉であるからである。」(ムスリムの伝承)
[4]定命への信仰はアッラーへの依存心を高め、被造物に対する恐怖感を取り除きます。教友イブン・アッバース(彼らにアッラーのご満悦あれ)はこう言いました:
「ある日私はアッラーの使徒(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)の後ろにいました。彼は私にこう言いました:“少年よ。お前にある言葉を教えてやろう。それを心に書き留めて堅守するのだ。そうすればアッラーがお前を護って下さるだろう。アッラー(があなたに命じ禁じられること)を守るのだ。そうすればかれを眼前に見出すであろう。何かを乞うときはアッラーに乞うのだ。そして援助を求める時はアッラーに援助を求めるのだ。そして知るのだ。全ての者があなたを益しようと一丸になっても、アッラーがあなたに対して既にお定めになられたこと以外は何一つあなたを益することがない。また全ての者があなたを害しようと一丸になっても、アッラーがあなたに対して既にお定めになられたこと以外は何一つあなたを害することがない。(定命の)筆は既に置かれ、(それが書き留められる)ページ(のインク)はもう乾いてしまったのである。”」(アフマドとアッ=ティルミズィーの伝承)
定命への信仰とはある種の人たちが考えるように、努力やそのために必要なこともせずに、ただアッラーに頼り切ることではありません。アッラーの使徒(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)はある時、このように尋ねられました:
「私はラクダをつないでアッラーに全てを委ねるべきですか、それともそれを放してアッラーに全てを委ねるべきですか?」彼は言いました:「それをつないでアッラーに全てを委ねよ。」(アッ=ティルミズィーの伝承)